2021年から猫の皮下点滴(皮下輸液)をスタートして5年。毎日かかさず行ってきたので、365日×5年=1825回以上となります。
最初は、“愛する宝物に針を刺す” という行為が耐え難く、手が震え、失敗するたびに愛猫に申し訳なくて。「皮下点滴をしなければならない明日が来る」のが怖かったです。
この記事では、そのような日々を乗り越えて身につけてきたコツや知識を綴っていきたいと思います。
私は医療従事者ではないので、皮下輸液のやり方の解説は控えます。この記事は基本的なやり方の知識はあって、コツを知りたい方向けです。
皮下点滴に使っているものリスト
まずは皮下点滴に使っているものを紹介します。動物病院から処方されるものだけでなく、自分で買い足したアイテムもあります。試行錯誤の末にたどり着いた「これがあると楽になる」という道具たちです。
処方された輸液・翼状針・ライン

- ラクテック 500mL
- 翼状針(緑色の18G)
- ライン
この3つは、動物病院から処方されているもの。お世話になっている動物病院では、シリンジは使わずに、輸液バッグにラインをつないで、直接投与する方式です。
これらの使い方は、それぞれの動物病院で指導に従ってください。以下は参考記事です。
加圧バッグ(あえて1000mL用)
最初に病院からレンタルした加圧バッグは、500mL用の以下でした。

その後、端からやぶれてしまい、新たに自分で購入したものは以下の1000mL用(あえての大きいサイズ)。

使用している輸液は500mLですが、500mL用の加圧バッグでは、輸液バッグがはみ出したところから徐々に加圧バッグが劣化し、最終的には破けてしまいました。
1000mL用の加圧バッグでは、500mLの輸液バッグ全体がすっぽり覆われるので傷みづらく、長く使えています。
カーテンレールに下げる長めのS字フック
前述の加圧バッグと、次に紹介する吊りはかりは、カーテンレールに引っかけて使っています。そのために長めのS字フックを用意しました。

使用のイメージは、このような感じ。

S字フックは1つでは長さが足りなかったので、家にあったフックと2つ組み合わせています。
デジタルの吊りはかり
体に入った輸液の量を計測するために、デジタルタイプの吊りはかりを使っています。最初は以下のアナログタイプを使っていましたが、上部につるすのでメモリが見づらく、デジタルに変えました。

(シンワ測定 手ばかり 平面目盛板 1kg 74452)

(シンワ測定 デジタル手秤 20kg 70109)
悩みは、いま使っているデジタルの吊りはかりが壊れたらどうしようか?ということ。このタイプはすでにメーカーでは生産終了となっているのです。
後継品の「シンワ測定 デジタル手ばかり 30㎏ 70118」が販売されているのですが、Amazonレビューによると皮下点滴に使えないらしいのです。
皮下点滴に使うには、重量が変化していく様子をリアルタイムに計測する必要がありますが、後継品の70118ではホールド機能が自動で発動し、数値が固定されてしまうとのこと。さらに100g以下は一律「0g」と表示され、少量の計測に対応していません。
これから購入される方は、アナログの74452にするか、または、高額になってしまいますが、旧デジタルの70109がAmazonなどでまだ入手できるようなのでそれを入手するか、が選択肢となるかと思います。
あるいは、私が知らないだけで、もしかするとほかの選択肢もあるかもしれません。私も新しい情報があればここに追記していきたいと思います。
電気あんか
電気あんかは、輸液を温めるために使っています。

(パナソニック 電気あんか ソフト(大形) 格子柄 DW-78P-H)
初期の頃は、お湯に浸けて温めたこともありました。ただ、ラインが濡れないように気を遣ったり、しまう前に水分を拭き取ったり……と、毎日となると手間がかかります。現在は電気あんか方式に落ち着いています。
輸液バッグを電気あんかのカバーの中に入れてチャックをしめておくだけで、人肌程度に温まります。
ちなみに、お湯に浸けて温めていた時代は、このブログ内でも何回も登場している野田琺瑯のビーカー1Lが500mLの点滴バッグにサイズがぴったりで、毎日使っていました。

(野田琺瑯 ビーカー ホーロー 耐熱 1L ネイビー HB-010)
皮下点滴の針の刺し方のコツ
ここからは、私が試行錯誤するなかでつかんだコツをいくつか紹介していきます。まずは、針の刺し方のコツです。
1800回以上繰り返すなかで、「こうすればうまくいく」というパターンが見えてきました。最初の頃の自分に教えてあげたい内容ばかりです。
刺す場所は全身どこでもいい(刺しやすい場所であることのほうが大事)
まず、初期の頃の自分に声を大にして言いたいのが、「刺す場所はどこでもいい」ということです。
最初は、一般的に最も推奨される“肩甲骨の間”に、後ろから前に向かって刺すやり方をしていました。しかし、これは失敗の連続でした。じつは、皮下点滴を5年やり続けた今でも、この位置にはうまく刺せません。
実際には、皮下に輸液が入りさえすれば、場所は体中のどこでも構いません。主治医も「どこでもいい」と言っており、主治医自身もよく体の側面に刺していました。
大切なのは、飼い主が刺しやすく、かつ、その子が嫌がりにくい場所を見つけることです。肩甲骨の後ろ・背中の真ん中・腰のあたり・脇腹など、猫さんによって「ここなら刺しやすい」という場所は違います。
うちの場合は、前から後ろに向かって、前脚または後ろ脚の近くの側面が刺しやすく、本人も痛がりません。

なお、同じ場所に刺し続けると、その部分の皮膚が硬くなる場合があるようです。数カ所をローテーションするのが理想的です(私は、毎日、右→左→右…と左右で変えています)。
ただ、最初のうちは「とにかく刺せる場所」を1カ所見つけることを優先でいいと思います。
刺す方向も試行錯誤してみる
皮下点滴について調べまくっているときに、「猫は逃げようとするときに前に進むので、抜けやすいように針は後ろから前に向かって刺す」というレクチャーを何度も見かけました。
私も最初はそのようにしていたのですが、試行錯誤を経て、逆の刺し方をしています。なぜなら、後ろから前に向かって刺すと、猫が一歩前に進んだだけで、針が簡単に抜けてしまうからです。
当時、せっかく刺したのに針が簡単に抜けて、何度もやり直しをして痛い思いをさせる──という失敗が続き、本当に落ち込みました。いろいろなやり方を試した結果、少し前に動いたくらいでは抜けない「前から後ろ」に行き着きました。
愛猫の主治医も、観察していたら前から後ろの方向で刺していたのですが、おそらく同じ理由ではないかな?と想像しています。
このあたりは自己責任になるかと思いますが、猫が本当に逃げようとしたときは、前から後ろでも後ろから前でも、針はすぐ抜けることも体験しています。
針を持つ右手より皮膚をつまむ左手が重要
針を刺すとき、どうしても針を持つ手(利き手が右手なら右手)に意識が集中しがちです。しかしじつは、皮膚をつまむ側の手のほうが重要です。
皮下点滴では、猫の皮膚をつまんで持ち上げ、その間に針を刺します。このとき、皮膚のつまみ方が甘いと、猫がとても痛がってしまうことが多く見られます。また、針が皮膚を貫通してしまうことも起きます。
コツは、皮膚をしっかりたっぷりつまむこと。よく「テント」のような三角形を作ってテントの頂点ではなく、少し下の斜面部分を狙って刺すとレクチャーされますね。
ただ、テントや三角形や斜面が難しくても、とにかく、たっぷり皮膚をつまむことが大切です。先ほど「針を刺す場所はどこでもいい」とお伝えしましたが、言い換えれば、「皮膚をたっぷりつまめる部位を探す」ことがヒントになると思います。
「針を刺す練習」よりも「皮膚をつまむ練習」をしてみてください。この練習は、針なしで、いつでも愛猫と一緒にできます。なかなか触らせてくれない猫さんの場合は、自分(人間)のひじのあたりを使って、イメージトレーニングするのもおすすめです。
私は、自分のひじをのばしたり曲げたりして、どのような状態ならお肉をつまみやすいか(つまみにくいか)などをイメージトレーニングしていました。
皮膚をたるませる体勢を工夫する
たっぷり皮膚をつまむことが大切と先ほどお伝えしたのですが、とくに痩せている猫さんの場合、皮下の脂肪が減り、皮膚をつまんでも十分なスペースが作りにくくなります。
そのようなときは、猫の体勢を工夫してみてください。たとえば、猫を丸くうずくまらせると、体の側面の皮膚がたるみます(皮下点滴をするときとは別に、普段の体勢で確認してみてください)。
皮膚が張っている状態では、どんなに技術があっても刺しづらいもの。体勢の工夫で皮膚に余裕を持たせることが、痩せた猫さんへの皮下点滴ではとっても大切です。
人間のベストポジションを模索する
うまく針を刺すためには、うまく針をさせる場所に人間がポジションを取っていることも、非常に重要です。
私の場合でいえば、右手に翼状針を持ち、右から左に向かって刺す方向でないと、うまく針が刺せません。左から右になったり、あるいは前後の動きになったりすると、今でもできないと思います。
右から左に向かってさせるように、自分のポジションは愛猫の後ろではなく、横にいるようにしています。
ご自身の手指が、無理なく自然に動かせる方向で刺せるようにするためには、猫さんに対してどの位置に立てばよいか、シミュレーションしてみてください。
翼状針の向きを逆にしないように注意する
翼状針には正しい向きがあります。逆向きに刺すと、痛みが強くなったり、うまく皮下に入らなかったりします。翼状針の針先は、斜めにカットされています。このカット面(斜面)が上を向くように持つのが正解です。

翼(羽のような部分)の片面がザラザラの手触りに加工されているので、それが下向きになる(指で翼を畳むようにつまんだとき、ザラザラが外側になる)ように翼状針を持つと、針が正しい向きになります。
使い終わった針で刺しまくって手に慣れさせる
注射針というものを生まれて初めて扱って、慣れないのは当然のこと。私は少しでも針に慣れたいと思い、針を手になじませるために、使い終わった針をビニール袋などにプスプス刺しまくって練習していました。
聞いた話では、鶏肉の感触が似ているそうで、鶏肉で練習する人もいるそうです。
針を持つことへの恐怖心が薄れると、少し手の震えも収まるように思いました。
海外も含めてたくさんの動画を見てイメトレする
最初はとにかくたくさん「見る」ことが役立つと思います。いちばん勉強になるのは、目の前で主治医が愛猫に皮下点滴するのを見せてもらうこと。
とはいえ、それは何百回も見ることはできませんから、活用したいのがYouTubeなどの動画です。国内だけでなく海外まで広げると、たくさんの動画が見つかります。
海外の動画を探すときには[cat subcutaneous fluids]のようなフレーズでYouTube内を検索すると、たくさんヒットします。
実際にYouTubeで検索した検索結果ページがこちらなので、クリックして見てみてください。私もたくさんの動画を見まくりました。
皮下点滴をするときに猫の体を保定するコツ
針を刺す技術と同じくらい大切なのが、猫の体を保定する技術です。どんなに上手に刺せても、猫が暴れれば針は抜けてしまいます。
ひとりで点滴をしなければならない場合は、なおさら保定の工夫が必要です。ここでは、私が試してきた方法を紹介します。
最初は保定袋を使う
皮下点滴を始めたばかりの頃は、保定袋(猫を入れる袋状のグッズ)を使うのが安心です。洗濯ネットでも代用できますが、専用の保定袋のほうが使いやすく設計されています。
私も、最初はまったくできる気配がなく、失敗しては(その日の分の皮下点滴をしてもらうために)動物病院へ駆け込む毎日でした。
そのような日々に変化が起きたのが、保定袋を買ったときからです。ぜひ一度、楽天の猫袋屋ホックスファミリーを覗いてみてください。

(保定 猫袋 腎不全 猫 保定 保定袋 6本ファスナー Plus)
こちらで購入した保定猫袋をきっかけとして皮下点滴がなんとかできるようになり、やがて、保定猫袋なしでもできるように成長できました。
必死だったあの頃、この保定猫袋を注文したのですが、その気持ちにとても寄り添っていただいている、とても詳しい説明書が付いていて、心が救われる気持ちになったことを覚えています。
肩甲骨を押さえると前に行かない
保定袋を使わない場合、猫が前に逃げようとすることがあります。そのようなとき有効なのが、肩甲骨を押さえる方法です。
前足や体を押さえるのではなく、肩甲骨のとくに上側・頭側に指を引っかけて軽く押さえるようにすると、前に進めなくなります。
これは病院で看護師さんに教えてもらった方法ですが、強く制止しようとしなくても猫の動きを止められます。ちょっとしたコツですが、知っていることでとても役立ちました。
点滴を行う場所を模索する
点滴をどこで行うか?というのも重要なポイントです。
私が当時、さまざまなブログなどを検索したときには、以下のような方々がいました。
- 病院の診察台のようにテーブルの上に乗せる
- キャリーケースの中に入ってもらう
- 水を抜いたお風呂の浴槽の中で行う
- 飼い主さんが床に脚を伸ばして座ったその間
我が家の場合は、ソファの上で、愛猫の顔をソファの背もたれ側にしています。前に進んだとしても、行き止まりになっている状態です。
最初は「いつもくつろいでいるソファが、嫌な場所にならないだろうか」ということも懸念して検討しました。ですが、うちの子の性格的には、わざわざほかの場所へあらためて連れていくよりも、いつもいる場所でそのまま、さっと(何事でもないように)自然に終わらせたほうが合っていました。
それぞれの猫さんの性格と、飼い主さんが手を動かしやすい・猫さんを制御しやすいという面によって、何がベストか変わってくると思います。最初は試行錯誤しながら、ベストを探ってみてください。
輸液が冷たいと逃げたくなりやすい
猫が点滴中に逃げ出そうとする原因のひとつが、輸液の冷たさです。冷たい液体が体内に入ってくる不快感で、猫は「逃げたい」と感じます。
すっかり皮下点滴に慣れたうちの子も、輸液を温め忘れていて冷たい状態で点滴すれば、ムズムズ逃げだそうとします。
先ほど電気あんかで温める方法を紹介しましたが、人肌程度に温めた輸液なら、猫さんの抵抗が明らかに減るはずです。
ただし、温め過ぎは絶対にNG。輸液が冷たくても猫が逃げ出してしまう以外のリスクはありませんが(実際に動物病院では温めずに輸液していることもある)、熱い輸液を体内に入れてしまえば重大なリスクがあります。
「熱すぎるよりは冷たいほうが100倍いい」ということは念頭に置きつつ、冷たくない(ほんのり温かい)程度に温めれば十分と思います。
何年も続けるうちに受け入れてくれることもある
最初は大暴れしていた猫でも、続けるうちに点滴を受け入れてくれるようになることもあります。こればかりは猫さんの個性にもよるので、断言はできないものですが──。
うちの子も、本当に最初は「絶対にムリだ」と思うくらいに点滴が苦手だったのですが、年単位で続けていくなかで、徐々に受け入れてくれました。
ある日、保定袋なしでも輸液できる日が訪れました。そしてまたある日、たまたまだと思いますがとても機嫌が良い日があり、なんと点滴中にのどをグルグルと鳴らしてくれたのです。
初期は本当につらい日々を過ごしてきたので、そのときは、「このような日が来るなんて、あのときの自分は信じられないだろう」と思って泣けました。
失敗しやすいから気をつけたいポイント
皮下点滴には、慣れていても「うっかり」が起きやすい場面があります。ここでは、私自身がヒヤリとした経験をもとに、気をつけたいポイントをお伝えします。
輸液バッグの終わりは注意深く見ていないと空気が入ってしまう
加圧バッグで加圧している状態では、輸液が空になったとき、油断すると空気がラインに入ってしまいます。
輸液バッグの様子を見ていれば輸液がなくなったことにすぐ気づけますが、つい、その上にある吊りはかりの数値を見ていると、「ボコボコ」と猫の体内に空気が入る音がして、慌ててクレンメ(ラインの流量を調整するクリップ)を閉じる──ということがありました。
少量の空気なら皮下に入っても問題ない(時間の経過とともに吸収される)そうですが、やはり入らないに越したことはありません。
うちの子は500mLの輸液バッグを4日で使い切る(1回120〜130mL程度)のですが、とくに4日目は、吊りはかりの数字にとらわれすぎず、輸液の残量を見るように注意しています。
使い終わった針のキャップはすくうように付ける(指に刺さないように注意)
使用済みの針にキャップを付けるとき、人間の指に針を刺してしまう事故が起きやすいです。私は初期の頃、何度も流血していました。
正しいキャップの付け方は、テーブルの上にキャップを置き、針先でキャップを「すくう」ようにして被せる方法です。キャップを手で持って針先に近づけると、指に刺しやすくなります。
クレンメを閉じる余裕がないときはラインを折るだけで輸液は止まる
点滴している途中で針が抜けてしまったときは、猫は大暴れだし、針からはいきおいよく輸液が飛び出し続けるし、部屋の中がパニックになりますよね。
加圧バッグで加圧していると、窓からソファから床から天井から……という感じで、輸液がまき散らされて、あわわ、あわわ……という状態に。
クレンメの扱いにもまだ慣れていない頃は止めるのも一苦労ですが、とりあえずラインを折るだけでも輸液は止まります。まずは針が振り回されて危険なことが起きないように針を確保し、そのままラインをどこでもいいので折りましょう。そして落ち着いてクレンメを閉じればOKです。
飼い主のメンタルの持ち方
最後に、技術とは別の話をさせてください。皮下点滴で最も難しいのは、じつは飼い主のメンタルかもしれません。
愛する猫に針を刺す行為は、どうしても心が痛みます。その気持ちとどう折り合いをつけるか。私が5年間、考えてきたことをお伝えします。
必要以上に「針を刺す=ひどいこと」と思わない(猫にとっては爪切りも同じ)
針を刺すことに罪悪感を持つ方は多いと思います。私もそうでした。「このようなひどいことをして」と、毎回、自分を責めていました。宝物として大事に大事にしてきたのに、宝物を刺すなんて、とてもできない。猫はずっと私を信頼してくれていたのに、このような仕打ちをすることで嫌われると苦しかったです。
でも、冷静に考えてみてください。猫にとって、針を刺される瞬間の痛みは「チクッ」という程度です。爪切りで深く切りすぎたときのほうが、よほど痛いはず。
爪切りで深爪したときは、「ごめんごめん!!」とカジュアルに謝る程度なのに、針で刺すことには特別な意味を持たせている自分に気づきました。これは人間目線だな、と思いました。
「一度だって傷つけたことない宝物なのに」と感傷的になっていましたが、猫の立場からすれば爪切りも針を刺すこともそんなに変わらないでしょう。そう思えたとき、ちょっと発想の転換というか、気が楽になったのを覚えています。
翼状針で刺されても痛くない
翼状針で毎日刺されるのは、さぞかし痛いことだろう、なんてひどいことをしているんだ……と思い続けていた頃、何の因果か、自分が医療機関を受診して採血することになり、その看護師さんが持っている針が、いつも私が使っているのとまったく同じ緑色の翼状針だったのです。
私は恐ろしい気持ちで刺されるのを待っていました。この翼状針の採血が痛かったなら、もう私は立ち直れないと思いました。「このような痛い思いを毎日させているんだ」と突きつけられることになるからです。
結果は、まっっっっったく、痛くなかったんです。悩みに悩んでいた私に、神様がくれたプレゼントの体験だったと思っています。
なんだ、まったく痛くない。これなら大丈夫だ。そう思えました。これを読んでいるあなたも、「痛いに違いない」と思い込みすぎず、「案外、痛くないかもしれない」と思ってもらえたら、と思います。
「まずは100回」失敗してもがんばってみる
最初から上手にできる人はいません。私も最初の数カ月は失敗の連続でした。針が皮膚を貫通してしまったり、輸液が漏れてしまったり、猫が暴れて針が抜けてしまったり。
これは私の持論というか、何事もそう考えているのですが、「まずは100回、やってみよう」と考えます。100回やってもダメかもしれないけれど、それで諦めるにせよ、まずは100回やってから考えるのです。
皮下点滴で失敗続きでメンタルがボロボロになったときも、「まずは100回」と決めました。そして100回の記録日記をスタートしました。結果として、100回を達成する頃には、最初よりもずっと失敗確率を減らせていたのです。
皮下点滴は、いろんな個性をもった猫さん相手のことなので、かならず大丈夫になるとはいえませんが、どのような結論に至るにしても、まずはやってみて考えることが大切だと思います。
「世界でいちばん、この子の皮下点滴がうまくなる」ことを目指す
私が失敗ばかりで落ち込んでいた初期の頃にいつも思っていたのは、「皮下点滴がうまくできるようになるかはわからない、わからないけれど、せめて『この世でいちばん、この子の皮下点滴がうまくできる人』になろう」ということでした。
どのお医者さん、どの看護師さんよりも、この子の皮下点滴を最も負担なくできるのは私、という意味でいちばんを目指そうと思いました。
何度も繰り返し書いているとおり、猫さん相手のことなので、相手の猫さん次第で、どれだけ皮下点滴ができるようになるかは変わります。でも、人間のなかで、うちの猫さんの皮下点滴を最もうまくできる人になることは、目指せると思ったのです。
そして、その目標は達成できたように思います。
***
この記事は、まだ書き切れていないコツもあると思うので、随時更新していこうと思います。同じように奮闘している飼い主さんの助けになれば幸いです。愛猫との日々が、少しでも穏やかなものになりますように。

