ハンバーグのひき肉は、手でこねるべきという話もあれば、手でこねすぎてはいけないという話もあります。
テレビでプロの料理人がハンバーグを作っている様子を見ていても、手でガンガンこねている人もいれば、一切、手では触らないという人もいます。
それぞれのメリット・デメリットを整理した上でたどり着いた方法は「ビニール袋でスピードこね」です。
ハンバーグのタネをこねる意味
まず、ハンバーグのタネをこねる意味を復習しておきます。
ひき肉に塩を加えて練ると、肉の繊維が壊れて、肉から水分が引き出されます。
ハンバーグだけでなくぎょうざもそうですが、一口食べた瞬間にジュワッと肉汁がこぼれ出てくるような、ジューシーなお肉にするためには、塩を加えてこねることが重要です。
塩を加えてこねる工程を省略すると、水分の足りないパサついたハンバーグになります。
ハンバーグのタネをこねすぎてはいけない理由
逆に、ハンバーグをこねすぎてはいけない理由は、肉に手指の熱が伝わって温まると、脂肪分が液体の油となって溶け出してしまうからです。
先ほど、水分がジューシーさを醸し出すために重要だと書きましたが、「油分」も欠かせないものです。
「ジューシーなハンバーグ」の双璧をなす水分と油分。
こねが足りなければ水分が足りなくなるし、こねが過ぎれば油分が足りなくなる、というわけなんですね。
よく冷やしたひき肉をビニール袋に入れて素早く練る
以上の前提を踏まえつつ、私のやり方は、
- よく冷やしたひき肉をビニール袋に入れて速攻で練る
というやり方です。
チルド室に入れてよく冷やしておいたひき肉・塩・調味料をビニール袋に入れて、空気を抜いて口を縛ります。
※卵・パン粉などのつなぎ・たまねぎなどの野菜はこの段階では入れません。
これを、パン生地をこねるような要領で、短い時間で素早く練ります。
こね方のイメージ動画↓
こねている時間は1分程度でしょうか。全体に白っぽくなったらすぐ終了します。
ここまでできたら、冷蔵庫のチルド室に入れて休ませます。
このあと、ハンバーグに入れる野菜や他のおかずなどの準備をして、成形する直前までチルド室でよく冷やしておきます。
ボウルでこねるよりもずっと早くこね終わる
ビニール袋に入れてこねると、激しく強くこねても飛び散ったりしないので、ボウルでこねるよりもずっと早くこね終わります。
早くこね終われば、手指の熱が伝導する時間が少なくて済みますから、油分の流出につながりません。
肉に触るのはビニール袋ごしで直接手指が触れるわけではないですし、調理台側に圧をかけるようにして練っていくことも、熱が伝わりにくいポイントです。
チルド室でタネを寝かす間に油分は固まり水分は引き出される
ハンバーグを作る日は、その日の下ごしらえの最初の段取りで、この「ひき肉こね」を行います。
その後の工程を行っている間、冷蔵庫のチルド室で寝かしておきたいからです。
夕食にハンバーグを作るとして、午後に時間があれば、ひき肉をこねる工程だけ夕食の数時間前に行っておくこともあります。
チルド室でタネをしっかり冷やすことで、油分は固まって流出がくい止められますし、塩分と反応した繊維からは水分がどんどん引き出されていきます。
この後は好きなものを追加して成形して焼けばOK
この後は、冷やしておいたタネに好きなつなぎや野菜などを追加して、成形して焼けばOKです。
水分も油分もしっかり閉じ込められたおいしいハンバーグに変身します。
ちなみに、私はつなぎは入れないハンバーグが好きで、この〈下ごしらえをしたお肉にみじん切りのたまねぎを加えただけ〉のパターンをよく作ります。
パン粉や卵が入っていないとハンバーグは固くパサパサしがちですが、この下ごしらえに変更してからというもの、100%の割合で柔らかくてジューシーなハンバーグができています。